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分卷阅读192 (第1/3页)
あった出来事がぼんやりとどうでも良くなってしまうのだ。たとえ、その日の依頼がどのようにキツいものであったとしても、妖琴師の琴を聴けば彼の音しか頭に入って来なくなる。ある日、程よく一軍が育ってきた事もあって育成途中の二軍をメインに探索に出ていると何やら神楽が心配そうな顔で私の袖を引っ張ってくる。「どうしたの?晴明。どこか具合でも悪いの?」「いや、そういうわけではないが……」「最近、ぼんやりとしている事が多いからちょっと心配。本当に大丈夫?」上目遣いに見られ、私は安心させるように神楽の頭を撫でてやる。言われてみれば、最近は鬼退治の途中であろうと意識が集中しきれていない時があり、博雅には「手ぇ抜いてんじゃねぇぞ」と小言を言われたのもあった。「すまない、心配をかけた」そう言えば、神楽は少しだけ安心したように笑ってくれる。遊びではないのだ。ここはきちんと集中しなければならないだろう。そう意気込んでいると、先程まで悪鬼と戦っていたはずの以津真天がいつもの淡泊な表情でこちらに近寄って来る。「彼の御魂、なにを付けたの?」「何か問題でもあったのか?」「いいえ。でも、私のものとは違うから。敵が自分の味方を攻撃しているのがおかしくて」以津真天が向けた視線の先に自身も視線を向ければ、そこには夜に見慣れた琴を弾く姿がある。妖琴師の音を聴いた途端に悪鬼たちは頭をグラグラと揺らし、あまつさえ味方のはずの悪鬼に猛威を振るっている姿がある。「あぁ、たまには違ったものを与えてみるのも良いと思ってな。彼には魍妖を与えてみたんだ」「そう」「なかなか、あれはえげつないな」苦笑交じりに言えば、以津真天はそれ以上何も言わなかった。連日連夜桜の木の下へ通い続け、博雅からの酒盛りの誘いもそっちのけだったのは事実だ。加えて、夜のほとんどは妖琴師の元へ訪れているようになり、日を重
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